アンティークからのサステナビリティへ。リディア・クーテル / Lydia Courteille

アンティークからのサステナビリティへ。

リディア・クーテルの名前は日本で無名だ。私が知ったのも2〜3年前。友人のアメリカ人とスウェデン人の女性ジャーナリストが、「リディアは最高。パリ・ヴァンドーム広場のブティックへ行った?」とほぼ同時期に聞かれた。

リディアは特に女性に人気が高い。パリのオートクチュール・ウィークの際に新作を発表するので2人の友人は必ず行く。イタリアのジュエリーショー、ヴィチェンツァオロのリディアのブースは、バイヤーや女性ジャーナリストの訪問が途切れることがない。

どうしてそこまでみんなはリディア・クーテルに惹かれるか。ジュエリーそのものだけでなく、彼女がつくる世界観に夢中なのだ。

パリのヴァンドーム広場のリディア・クーテルのブティックは、ディズニーランドのように夢がいっぱいだと言う。残念ながら、私は本人とイタリアで2回会っているが、パリの店には行っていない。

ダークな店内に、幻想的、ポップ、ネオゴシック、ミステリアスと、さまざまに表現できるジュエリーが並び、ブティックのウィンドウは年2回、イラストレーションなどを使って大幅にチェンジする。

こうして説明すると、リディアをトレンドセッターだろうと想像するかもしれないが、実は彼女は科学者、宝石学者、アンティークジュエリーのディーラーという顔をもつ。

長年、遺跡で発掘した石、ジュエリーを研究し、コレクションするうちに、1998年からジュエリーをデザインするようになった。

捨てられそうな古いジュエリーから宝石を取り出し、新たなデザインに組み込んでみたら他人が評価してくれるようになったと言う。彼女のファンにはビヨンセ、カール・ラガーフェルドなどがいる。

ここで、私は彼女に聞いた。

「アンティークジュエリーというのは作られた時の状態を維持することが重要で、修復する必要があっても最小限に留めるのがいいのでは?」

リディアは、問いに対して、

「美術的価値がありコンディションが良いものはそのまま扱います。アンティークには宝石は素晴らしいけれど、どうみても今はつけられないものがたくさんあるの。そのまましておけば、誰にも振り向かれず捨てられてしまうでしょ。今で言うサステナビリティよ」

リディア・クーテルの取材の後、私は幸運にも、イギリス出身で世界的に有名なジェエリーヒストリアン、ヴィヴィアン・ベッカーにインタビューすることができた。その時、同じ質問をした

すると、ヴィヴィアンも「そうね、身につけられなくなったものを救うという意味で、昔からヨーロッパでは古いものを尊重しつつ活かすというは考えがあります。」

イギリス人は元の状態を復元することに執着するようだから、ヴィヴィアンの答えは意外だった。

リディア・クーテルのコレクションは2つに大別できる。完全に新しい宝石類を使ったジュエリーと、アンティークブローチからはずしたストーンまたはシェルカメオ、ラーバカメオ、リモージュ、ミニアチュールなどを用いて作ったリング。

温暖化や冬場も室内が暖かく、またウールコートよりもダウンを好む現在、ブローチの出番は少なくなった。そこでビッグリングに作り替えている。

欧米富裕層の女性のジュエリーファンには、トレンドファッションを買うようにジュエリーを買う人が多い。希少な宝石をセンターに配したクラシックなリングやネックレスは投資目的の男性に人気がある。

かなり日本とは違う流れが、海の向こうでは起こっている。

https://www.lydiacourteille.com/en

Text=Watanabe Ikuko
リディア・クーテルのブランドブック。
https://www.amazon.com/Lydia-Courteille-Juliet-Weir-Rochefoucauld/dp/1851498370/

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La Vie En Rose  モルガナイト、ピンクサファイアなどピンクストーンのコレクション。リング。

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La Vie En Rose  リング。

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La Vie En Rose  サイドにリボンモチーフがたくさん装飾されたリング。

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La Vie En Roseのイメージ「バーレスク」

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La Vie En Roseのイメージ「バニー」

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La Vie En Roseのイメージ。

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パリ・ヴァンドーム広場のブティックのディスプレイは年2回リニューアルする。ポップになったりシックになったり、人を驚かせる。

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パリ・ヴァンドーム広場のブティック・ディスプレイ。

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パリ・ヴァンドーム広場のブティック・ディスプレイ。

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リディア・クーテル